こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。
歯の抜ける主な原因として、虫歯と歯周病が挙げられます。40代後半になると、虫歯よりも歯周病による歯の脱落が増加する傾向があるのです。
また、30代から60代にかけて歯周病に罹る人の割合が増加することがわかっています。年齢が上がるにつれて、歯周病によるさまざまな症状が現れるでしょう。
今回は、歯周病に焦点を当て、詳細に解説いたします。
目次
歯周病とは?
歯と歯茎の間には、歯周ポケットと呼ばれる溝が存在します。歯周ポケットに汚れが溜まることによって引き起こされる炎症が、歯周炎です。歯を支える歯槽骨が溶けるほど歯周炎が進行した状態を、歯周病といいます。
歯周病の診断では、歯周ポケットの測定を行います。健康な歯茎の歯周ポケットは、1〜3mmです。歯肉炎では、歯茎が腫れるため歯周ポケットが3〜4mmと深くなります。歯周炎が進行し歯周病になると、歯周ポケットが5mm以上になるでしょう。
歯周病の症状
歯周病の代表的な症状は、歯茎の赤みと腫れです。歯周病の状態でブラッシングを行うと、歯茎から出血する場合もあるでしょう。
歯周病が進行すると、歯の周りにある歯槽骨に炎症が起き、歯がグラグラするなどの症状が出ます。
歯周病になる原因
歯周病になる原因は、以下のとおりです。
磨き残しが多い
歯周病は、歯周ポケットに汚れが溜まることで引き起こされます。詰め物が適合していない、歯並びが悪い、ブラッシング習慣がないなど、磨き残しが多くなると歯周病になるリスクが増加するでしょう。
唾液の分泌量が少ない
唾液には、お口の中をきれいにする作用があります。お口の中が乾燥するなど、唾液の量が減少すると、お口の中の細菌が増殖して歯周病になるリスクが増加するのです。
喫煙習慣がある
タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させる作用があります。血液からの栄養が十分に供給されなくなり、歯周病細菌に対する抵抗力が低下するでしょう。
間食が多い
甘いものに含まれている糖分は、プラークを構成する細菌の栄養源です。甘いものを間食する習慣があると、プラークが増殖して歯周病の原因になります。
糖尿病を患っている
糖尿病は、インスリンの分泌量の低下などによって血液中の糖が増加する疾患です。歯周病の原因菌は糖分を栄養とするため、血中の糖が増加すると歯周病になりやすいでしょう。
歯周病が体に及ぼす影響
歯周病になると、常に炎症が起きている状態になります。炎症反応によってさまざまな悪影響を体に及ぼすでしょう。
以下、歯周病が及ぼす体への影響をまとめました。
感染性心内膜炎
歯周病の原因菌が血管に入り込み、心臓を構成する弁に到達して炎症反応を引き起こすことを、感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)といいます。
感染性心内膜炎の症状は、発熱、体重減少、関節痛、筋肉痛などが挙げられます。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は、食べ物などが誤って気管に入って引き起こされる肺炎です。歯周病があるとお口の中で歯周病菌が増加します。そのため、食べ物に歯周病菌が付着しやすいでしょう。
歯周病菌が付着した食物が気管に入ることで、誤嚥性肺炎を引き起こすのです。
脳梗塞
血栓や動脈硬化の影響で脳の血管が詰まり、脳に十分な血液が供給されなくなる疾患のことを脳梗塞といいます。重度の歯周病の人は、そうでない人に比べて脳梗塞になる確率が約3倍増えるといわれているのです。
糖尿病
歯周病菌は、内毒素という毒素を血中に放出します。歯周病菌由来の内毒素は、脂肪細胞や肝臓からの炎症物質の産生を促進します。炎症物質には、インスリンの働きを抑制する作用があるのです。
インスリンには、血中の糖分を細胞に取り込ませるという働きがあります。歯周病の方は炎症物質が多量に産生され、インスリンの機能が低下します。そのため、血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病の原因になるのです。
歯周病の治療法
歯周病の基本的な治療方法は、プラークを除去し歯周ポケットの深さを改善することです。
以下、歯科医院で行われている基本的な歯周病治療の流れと、治療内容についてご説明します。
検査
歯周病治療を始める前に、歯周ポケットの深さを測定します。
検査には、プローブと呼ばれるメモリのついた針のようなものを使用するのが一般的です。プローブを歯周ポケットに挿入して深さを測定します。
歯周ポケットの深さが4mm以上ある場合は、スケーリングやSRPと呼ばれる歯石取りが行われるでしょう。
スケーリング・SRP
歯石取りには、スケーリングとSRPの2種類があります。
スケーリングは、歯茎から上に付着している歯石を専用の器具を使って除去する処置です。SRPは、歯茎より下にある歯石を取る処置です。
歯茎より下の歯石を取る処置では、局所麻酔薬を使用することがあります。処置に伴う痛みを緩和するためです。
歯周ポケットの検査を行ったあと、スケーリングを行います。スケーリングを行ってから2週間程度経ってから、再び歯周ポケットの検査を行います。2回目の検査でも歯周ポケットが深い場合は、SRPを行うのが一般的です。SRP終了後、再び歯周ポケットの検査を行います。
歯周外科治療
3回目の検査でも歯周ポケットの深さが改善されていない場合は、歯周外科治療を行います。歯周外科治療とは、歯茎を切開し、スケーリングやSRPで取りきれなかった歯石や感染組織を取り除くことです。
歯周外科治療によって歯周ポケットが改善したあとは、定期的なメンテナンスを行い、歯周病を予防します。
歯周病の予防法
歯周病の予防法は、以下のとおりです。
磨き残しを減らす
歯周病は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに汚れが溜まることで引き起こされます。そのため、日頃から丁寧なブラッシングを行い、お口の中を清潔な状態に保つことが非常に重要です。
歯周ポケットの清掃を行うには、バス法によるブラッシングが有効です。バス法では、歯ブラシの先端を歯に対して45度に傾けて歯周ポケット内を清掃します。バス法を併用してブラッシングを行い、歯周病を予防しましょう。
定期的なメンテナンスを受ける
磨き残しがあると、プラークが石灰化し歯石に変化します。歯石が歯に付着すると、更にプラークが歯に付着しやすくなり、歯周病の原因になります。
歯石は、日頃のブラッシングでは除去できません。そのため、定期的に歯科医院を受診し、歯石取りを受ける必要があります。
禁煙する
歯周病の予防には、禁煙が有効です。タバコに含まれている成分には、血管を収縮させる作用があります。歯茎に十分な酸素が供給されず、歯周病の原因菌が増殖しやすくなります。
まとめ
今回は、歯周病の症状や体に及ぼす影響、予防法について解説しました。
歯と歯茎の間には、歯周ポケットと呼ばれる溝が存在します。歯周ポケットに汚れが溜まると歯茎に炎症が生じる歯周炎になります。
歯周炎が進行し、歯を支える歯槽骨が炎症によって溶けた状態が歯周病です。歯周病の症状には、歯茎の発赤・腫脹や出血があります。
歯茎の周りの炎症が歯槽骨まで広がると、歯がグラグラし始め、最終的には抜歯が必要になるでしょう。歯周病は、お口の中だけではなく、感染性心内膜炎や脳梗塞、糖尿病などに影響を及ぼすことがあります。
歯周病の予防法としては、日頃のブラッシングと歯科医院で行われる専門的な歯のメンテナンスを受けることが挙げられます。
歯周病の治療や予防を検討されている方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。