こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。
歯周病は、歯周組織に炎症がおきる病気です。進行すると、歯がぐらついたり最悪の場合歯が抜け落ちてしまいます。
年齢が増すにつれ歯周病の症状が出る人は増えていき、45歳以上になると半数以上の人に症状がみられるといわれています。初期のころは症状や痛みがあまりないため放置されることも多いですが、進行すると全身の健康にも影響をあたえる恐ろしい病気です。
本記事では、歯周病の予防に役立つ歯磨きの方法やポイント、歯ブラシや歯磨き粉選びについて解説します。
目次
歯周病とは?
歯周病とは、歯と歯肉の溝(歯周ポケット)に歯周病菌が侵入し、炎症がおこる病気です。歯肉や歯槽骨など、歯を支える歯周組織が破壊されます。
最初は自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことも多いです。放置すると顎の骨が溶かされ、歯がグラグラとし始めますが、残念ながら元通りにはなりません。
そのため、歯周病は早い段階で治療する必要があり、予防することが最も重要なのです。
歯周病は口の中の問題だけでなく、心臓病や糖尿病、呼吸器疾患、妊娠合併症などのリスクを増加させるといわれています。歯周病の炎症によって出てくる毒性物質が、歯肉の血管から全身にまわって様々な病気を引き起こしたり悪化させたりするのです。
歯周病は、歯磨き不足で歯垢がたまるところから始まり、歯肉炎から歯周炎へ次のような段階で進行していきます。
1. 歯肉炎
歯垢や、歯石が付き始め、歯肉に炎症がおきます。歯石とは、歯垢が唾液内の成分の影響で石灰化して硬くなったものです。
歯肉が赤く腫れたり、触れると出血したりしますが、この段階では炎症がおきているのは歯肉だけです。歯槽骨には影響がありません。
2.軽度〜中等度の歯周炎
歯垢や歯石がさらに増えて、炎症が進行して歯周ポケットが深くなります。歯周病菌は空気が嫌いな嫌気性の菌なので、ポケット内は非常に快適な場所です。
ポケット内で菌が増殖して炎症をおこし、歯槽骨や組織を徐々に破壊していきます。この段階ではまだ自覚症状は少ないかもしれませんが、レントゲン写真を撮ると歯槽骨の減少が見られます。
3.重度の歯周炎
歯垢や歯石がさらにポケット内の深くに入り込み、歯槽骨や組織を大きく破壊します。この段階では、痛みや歯が動いて噛みにくいなど、自覚症状も出てきます。
また、歯肉が退縮することで歯が伸びたように見えたり、歯がグラグラしたり、最悪の場合歯が抜け落ちたりする可能性もあります。
歯周病は歯磨きで予防できる?
全身の健康にまで影響をあたえる歯周病ですが、主な原因は磨き残した歯垢です。毎日の歯磨きで歯垢を口の中に残さないようにすれば、歯周病のリスクを低減でき予防につながります。
歯垢は、お口の中の細菌が集まってかたまりになったもので、食べかすなどではありません。例えるなら、キッチンやお風呂場の排水溝にたまる、ぬめり汚れと同じようなものです。
歯垢1mg中には、むし歯や歯周病の原因になる細菌を含む1億個以上の細菌が存在するとも言われています。白色または黄白色をしているのでよく見ないとわかりにくいですが、特別な機械を使わなくても、歯ブラシなどで磨けば取り除くことができます。
ただし、いくら丁寧に歯磨きをしても歯石や歯ブラシでは届かない歯周ポケットの中に入り込んだ歯垢は取れません。歯科医院を受診して除去してもらう必要があります。
定期的に歯科医院に通うことで、歯石の除去だけでなく自分が磨き残しやすい場所を指摘してもらい、正しい歯みがきの仕方をアドバイスしてもらえます。歯周病は、自分でおこなう毎日の歯磨きと、定期的に歯科医院で行うプロのケアの2本柱で予防していくことが大切です。
歯周病予防に効果的な歯磨きの仕方
それでは、自分でできる歯周病予防に効果的な歯磨きの仕方を紹介します。
歯と歯肉の境目の歯垢を残さないように磨く
歯周病は、歯周ポケットで歯周病菌が増殖して炎症がおきて進行していきます。予防するには、歯と歯肉の境目についた歯垢を落とすことが大切です。
歯磨きの方法は何種類かありますが、ここでは歯周病予防に効果的な歯の磨き方、バス法を紹介します。
- 歯ブラシの毛先を歯が生えている方向(歯軸)に対して45°に傾ける
- 毛先を歯と歯肉の境目にあて、細かく振動させるように磨く
磨き方のポイントは、歯を1本ずつ磨くように歯ブラシを小さく動かすことと、力を入れすぎないよう磨くことです。
大きく動かしてしまうと、歯と歯の間に毛先があたらないまま表面だけを磨くことになってしまうため気を付けましょう。磨く力の目安は、歯ブラシの毛先が曲がらない程度です。歯ブラシは、握るのではなく鉛筆を持つように持ちましょう。
この磨き方をすると、歯と歯肉の境目の歯垢をおとせます。毛先が歯肉にもあたるので、歯肉のマッサージ効果も得られます。
力を入れすぎると歯肉を傷つける原因になるので注意してください。また、歯並びによってはうまくあてられない部位もあるため、歯科医院で歯磨き指導を受けると良いでしょう。
十分な時間を確保する
すべての歯を丁寧に磨こうと思うと、それなりの時間が必要になります。時間よりも歯垢がしっかり落とせているかが重要ですが、目安として3分以上は磨きましょう。
特に、1日のうち夜寝る前の歯磨きは時間をかけて丁寧に行いましょう。睡眠中は、唾液の分泌量が少なくなり、むし歯菌や歯周病菌が活動しやすい環境になります。
寝る前の歯磨きでしっかり汚れをおとし、菌の数をへらしておくことが大切です。
歯間を清掃する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは6割程度しか落とせません。フロスや歯間ブラシを併用することで、歯間の歯垢を除去することができます。
歯周病予防に効果的な歯ブラシ・歯磨き粉の選び方
ドラッグストアなどの歯ブラシコーナーには、さまざまな歯ブラシや歯磨き粉が販売されています。どれを選べばよいのか迷うこともあるでしょう。
ここでは、歯周病予防に効果的な歯ブラシや歯磨き粉の選び方を紹介します。
歯ブラシの選び方
歯ブラシのかたさは、ふつう、またはやわらかめのもので、ヘッド(毛の部分)があまり大きすぎないものを選びましょう。歯肉の炎症が強い場合には、一時的に特別やわらかい歯ブラシを使用したほうが良い場合もあります。
かための歯ブラシは、歯肉を傷つけたり歯を削ってしまう原因になったりするので、特別な理由がない限りあまりおすすめできません。
また、歯ブラシのヘッド部分が大きすぎると奥歯や下の歯の裏側、頬側の面にブラシがあたりにくくなります。女性やお口が小さい方は、ヘッドが小さめの歯ブラシを選んだほうがよいでしょう。
歯並びが複雑な場所がある場合、歯ブラシより毛の部分が小さいタフトブラシを併用すると効率よく汚れをおとせます。
歯磨き粉の選び方
歯磨き粉には、歯周病菌に対して効果的な薬効成分や、歯肉の腫れを抑える薬効成分が配合されていることがあります。
一例にはなりますが、以下のような成分が歯周病予防に効果的といわれている成分です。
- 炎症や出血を抑える成分(トラネキサム酸など)
- 歯肉を引き締める成分(塩化ナトリウム)
- 殺菌成分(塩化セチルピリジニウムや塩化ベンザルコニウムなど)
- 歯垢が歯石になるのを防ぐ成分(ポリリン酸ナトリウム)
ただし、歯周病の予防効果がある歯磨き粉を使っているから歯周病にはならないというわけではありません。薬効成分がはいっているからといって、歯周病菌がすべて殺菌されるわけではないでしょう。歯垢は歯ブラシなどで擦り取らない限り落とせません。
配合された薬効成分を充分にいかすためにも、まずは丁寧に歯磨きをしましょう。
まとめ
歯周病は、歯と歯肉の溝に侵入した歯周病菌によって歯を支える組織が破壊される病気です。歯周ポケットが深くなり、骨が溶けグラグラになってしまった歯は、残念ながら元の健康な状態にもどることはありません。
歯周病予防のためには、歯と歯肉の境目の歯垢を除去すること、就寝前の歯磨きを念入りにすること、フロスや歯間ブラシを使うことが大切です。毎日の正しい歯磨きと定期的な歯科医院でのケアで、歯周病菌を増やさないようにすることが可能です。
歯周病から大切な歯と全身の健康を守りましょう。 歯周病予防に興味がある方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。