こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。
インプラントは、天然歯に近い噛み心地と審美性を兼ね備えた治療方法です。失った歯を補う方法として選択する方も多いでしょう。
しかし、インプラント治療はすべての方が受けられるわけではありません。インプラント治療ができないケースも存在します。
今回は、インプラント治療ができないケースや、対処法について解説します。
目次
インプラントは誰でもできるわけではない?
失った歯を補うための治療としてインプラントを選択する方は多いですが、インプラント治療は誰でも受けられるわけではありません。インプラント治療ができないと歯科医師に判断された場合、他の治療を検討する必要があります。
インプラントができないケースとは
インプラント治療ができないケースには、どのようなものが挙げられるのでしょうか。インプラントができない7つのケースについて解説します。
骨が薄い
インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に直接埋め込んで顎の骨と結合させます。人工歯根を埋入するための穴を顎の骨に開けるので、処置に耐えられるだけの十分な骨の量が必要です。
そのため、顎の骨が痩せている・薄い場合には、インプラントができないことがあるのです。
虫歯や歯周病がある
インプラント治療を始める段階で虫歯や歯周病があると、術後の細菌感染のリスクが高いです。細菌感染を起こすと、人工歯根と顎の骨が結合しにくくなるため、インプラントができない場合があります。
また、埋入がうまくいっても、細菌感染によりインプラント周囲炎を発症することがあります。インプラント周囲炎になると、最悪の場合顎の骨が溶けて、人工歯根が抜け落ちてしまうかもしれません。
歯並びが乱れている
歯並びが乱れていると、インプラントを適切な位置に埋入することが難しい場合があります。埋入は可能でも、噛み合わせに問題が出るなど予後が悪くなるケースが多いです。
歯並びが乱れている場合は、磨き残しが多くなる傾向にあるため、インプラント周囲炎を引き起こすリスクも高くなります。
全身疾患がある
糖尿病や腎疾患などの全身疾患がある方は、インプラント治療を受けられない可能性があります。
糖尿病の方は免疫力や抵抗力が低下していることが多く、手術時の傷口の回復が遅くなることが考えられます。また、歯周病のリスクが高く、埋入後にインプラント周囲炎を発症する可能性が高いでしょう。
腎疾患のある方も免疫力が低い傾向にあり、特に人工透析を受けている場合、インプラント治療ができないことがあります。手術時に細菌が体内に入った場合、臓器に影響する可能性があるからです。骨密度が低下しやすく、顎の骨への人工歯根の埋入・固定が困難なことも原因です。
また、高血圧の方は、インプラント治療によって動脈硬化が進行し、脳梗塞や脳出血などを引き起こす可能性があります。血圧のコントロールができていない場合には、インプラントができないことが多いでしょう。
妊娠している
妊娠をしている方が、必ずしもインプラント治療をできないわけではありません。
しかし、妊娠中は体調が変化しやすいため推奨できません。体調以外にも、インプラント治療ではCTやレントゲン検査・手術・投薬など、身体に負担がかかりやすい処置を多く行います。
インプラント治療は手術をともなうため、一般的な歯科治療よりも麻酔の使用量も多いです。また、感染防止のために抗生物質を服用することもあります。
母体の体調や胎児への影響を考慮し、妊娠の可能性がある方や妊娠中の方の治療を一律で断る歯科医院も存在します。産後に体調が落ち着いてから、治療を検討しましょう。
顎の骨の成長が完了していない
インプラントができる年齢の目安は20歳以上です。20歳に満たない場合には、顎が成長段階の可能性があるため治療できないことが多いでしょう。
インプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込みます。天然歯と異なり、一度埋入すると顎が成長してもその場に留まります。歯並びや噛み合わせに問題が生じたり、顔が歪んだりするリスクがあるのです。
喫煙習慣がある
喫煙者は、インプラント治療ができない場合があります。
タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、血管を収縮させます。血管が収縮すると血流が悪くなり、インプラントを支えている歯肉に酸素や栄養がうまく供給されなくなります。
口内環境が悪化するため、回復が遅くなったり、人工歯根と骨が結合しにくくなったりする可能性があるのです。また、免疫力も低下するため、細菌が増殖しやすくなり、インプラント周囲炎を引き起こしやすくなります。
インプラントができない場合の対処法
インプラントができない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここからは、インプラントができない場合の対処法についてご紹介します。
骨造成をおこなう
インプラント治療をするための十分な骨がない場合には、骨を増やす骨造成を行います。骨の厚みや高さが増えれば、インプラント治療を受けられるようになる可能性があります。
ただし、骨造成は難易度が高い処置であるため、全ての歯科医院で対応できるわけではありません。骨の量が原因でインプラント治療を断られた場合は、骨造成に対応している歯科医院へ相談するとよいでしょう。
虫歯や歯周病の治療をする
虫歯や歯周病がある状態でインプラント治療をした場合、細菌感染のリスクが高まります。先に虫歯や歯周病の治療をして口腔内の状態が良くなれば、インプラント治療ができるようになるでしょう。
ただし、歯周病によって顎の骨が大きく溶かされている場合は、骨造成が必要になることもあります。インプラント治療が受けられるようになるまで、時間がかかる場合もあるでしょう。
歯列矯正をする
歯並びが原因でインプラントができない場合は、先に歯列矯正を行います。歯並びが整えば、インプラント治療を行うことが可能でしょう。
ただし、この場合は歯列矯正にも期間や費用がかかります。予算や治療完了までの期間などをよく確認した上で検討することが大切です。
かかりつけ医と連携して治療する
全身疾患がある方や、妊婦の方などがインプラント治療を受けたい場合、歯科医院だけで治療の可否を判断するのは難しいです。
インプラント治療は、一般的な歯科治療に比べて身体への負担が大きいです。患者さまの健康状態によっては、さまざまなリスクが伴うでしょう。
全身疾患がある方や妊娠している方は、かかりつけ医に相談しましょう。インプラント治療が可能であると判断された場合のみ、かかりつけ医と連携すれば治療を受けられます。
顎の骨の成長が終わるまで待つ
年齢が20歳に満たない方の場合は、基本的にはインプラント治療ができません。20歳になるまで待つ必要があります。
この間、部分入れ歯など他の方法で治療して、顎の成長が完了した段階でインプラント治療を行います。
禁煙する
インプラントを顎の骨にしっかりと結合させるには、少なくとも治療期間中は禁煙する必要があります。喫煙習慣がある方でも、禁煙して口腔内の環境が整えばインプラント治療を受けられることがあります。
まずは禁煙外来を受診するなど、準備を整えた上でインプラント治療を開始しましょう。
他の治療法を検討する
インプラント以外の方法で、歯を補うのも方法のひとつです。インプラント以外の治療としては、ブリッジや部分入れ歯が挙げられます。
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を支えにして、橋をかけるように人工歯を取り付ける方法です。ブリッジは両隣の歯を支えとする構造上、多くの歯を失った場合には行えません。一般的には、1~2本の欠損であれば対応可能です。
部分入れ歯は、残っている歯に金属のバネを引っかけて入れ歯を装着する方法です。汚れが溜まりやすい、天然歯や歯ぐきに負担がかかりやすいという欠点はありますが、保険診療で作成することもできます。
まとめ
インプラントは、天然歯に近い噛み心地や見た目を得られる治療です。
ただし、インプラントができないケースもあるため注意してください。治療を受けられるかどうかは、歯科医師に確認してもらう必要があるでしょう。
また、インプラント治療ができないと言われても、骨造成や歯列矯正などを行えばできるようになることもあります。複数の歯科医院へ相談してみると良いかもしれません。
インプラント治療を検討されている方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。