こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。
急速拡大装置は、小児矯正で用いられる装置の一つです。「急速拡大装置って何?」「どんなメリットがあるの?」など、詳しいことはわからないという方が多いのではないでしょうか。
今回は、急速拡大装置とはどのような装置か、どのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。治療する際に必要な費用や使用する際の注意点などについてもわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
急速拡大装置とは

急速拡大装置とは、上顎の横幅を広げて歯を並べるスペースを確保するために用いられる固定式の装置です。通常よりも上顎が小さいことで、歯が並ぶスペースが不足していたり、歯が重なって生えていたりする場合に用いられます。
主に、永久歯が生えるためのスペースが不足しているお子さんに使用することが多いです。乳歯と永久歯が混在する6〜12歳頃の成長期に、この装置を使用することで効果を発揮します。
永久歯が理想的な位置に生え揃うためのスペースを確保することで、抜歯をせずに歯が正しい位置に並ぶ可能性があります。
急速拡大装置のメリット

成長期のお子さんの矯正治療に急速拡大装置を使用するメリットは、以下のとおりです。
短期間で顎の横幅を拡大できる
短期間で顎の横幅を拡大できる点が急速拡大装置を使用するメリットです。個人差はあるものの、数週間から半年程度で治療が完了します。特に、成長期の子どもは顎の骨が柔らかいため、スムーズに治療を進められるでしょう。
矯正期間が短いため、お子さんや保護者の方の負担を抑えられるのも魅力です。
抜歯のリスクを減らせる
急速拡大装置を使用することで永久歯が生えるスペースを確保できれば、抜歯せずに歯を正しい位置に並べられる可能性があります。成長期の子どもにとって、抜歯を避けられることは身体的な負担の軽減につながります。抜歯せずに自然な歯列を保てるのもメリットの一つです。
口呼吸の改善につながる
鼻腔が小さいと鼻で呼吸がしにくく、気づかないうちに口呼吸をしていることがあります。上顎の横幅が広がると鼻腔も広がるため、自然と鼻呼吸がしやすくなります。鼻呼吸ができるようになれば、むし歯や歯周病だけでなく風邪などのリスクも軽減できます。
急速拡大装置のデメリット

急速拡大装置を使用した治療にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットもあります。治療を検討している場合は、どのようなデメリットがあるのかもしっかり把握しておきましょう。
不快感や痛みを伴う可能性がある
装置を装着すると口内に異物感が生じ、食べ物が飲み込みにくくなることがあります。また、上顎の幅を広げるために強い力を加えるので、装着してしばらくは痛みを伴うこともあります。お子さんによっては、装置が口内の粘膜や舌に触れて違和感を覚えることもあるでしょう。
ほとんどのケースは数日から1週間程度で落ち着きますが、痛みや不快感が続く場合は担当の歯科医師に相談してください。
発音や食事がしにくくなる
上顎に装置が固定されるため、舌の動きが制限されて発音しづらくなることがあります。食事の際に飲み込みにくさを感じるケースもあるでしょう。また、装置に食べ物が挟まることもあります。そのため、食後のケアを怠るとむし歯や歯周病になるリスクが高まります。
さらに、硬い食べ物や粘着性のある食べ物を口にすると、装置が破損する可能性があるため、避ける必要があるでしょう。
装置が目立つことがある
装置は上顎に固定されていて見えにくいものの、大きく口を開けると目立つことがあります。また、会話中に金属が見えることがあり、思春期のお子さんにとっては、心理的負担になるかもしれません。
顔の印象が変わることがある
急速拡大装置を装着すると上顎の横幅が広がり、鼻腔も広がることで、治療前と比較すると鼻の周辺の見た目が変化することがあります。
しかし、成長とともにあまり気にならなくなるケースが多いようです。
定期的なメンテナンスが必要
自己判断で通院を怠ると、十分な効果を得られない可能性があります。治療中は定期的に歯科医院を受診して、治療は順調に進んでいるか、お口の中にトラブルは起こっていないか、装置は破損していないかなどを確認します。
メンテナンスを怠ると、装置が壊れていたり、虫歯などのトラブルが起こっていたりしても発見が遅れ、計画どおりに治療が進まなくなる可能性もあるでしょう。計画どおりに治療を進めるためには、歯科医師の指示に従って定期的にメンテナンスを受けることが大切なのです。
急速拡大装置で治療する場合の期間

急速拡大装置で治療する場合にかかる期間は、お子さんの年齢や顎の柔軟性、骨の成長速度によって変動しますが、3〜6か月程度が目安です。
ただし、拡大した顎の骨は不安定なため、矯正治療が終了して何もしなければ、徐々に元の状態に戻ってしまいます。顎の骨を安定させるために、一定期間は装置を装着したままにするのが一般的です。
急速拡大装置で治療する場合の費用

急速拡大装置を使用した治療には保険が適用されません。自費診療となるため、歯科医院によって費用は異なりますが、装置の費用は3万〜5万円程度が相場です。
これに加えて、検査料や定期的なメンテナンス費用が発生することが多いです。歯の動きや装置の状態を確認するため、通常は1か月に1回程度の頻度で歯科医院に通院します。1回あたりの診察費用は3,000円〜5,000円程度が一般的ですが、こちらも歯科医院によって異なります。
歯科医院のなかには、装置代と定期検診の費用を含めた総額で料金を設定しているところもあり、この場合は治療途中での追加費用が発生しにくいです。矯正治療を受ける歯科医院がトータルフィーを採用している場合は、どのような費用が含まれているのか事前に確認しましょう。
急速拡大装置を使用するときの注意点

急速拡大装置を使用して治療を行う場合、注意しなければならないことがあります。矯正治療をスムーズに進めるためにも、以下の点に注意しましょう。
口腔ケアを丁寧に行う
急速拡大装置は、食事や歯磨きの際に取り外せないため、装置の周りに食べかすが残りやすくなります。十分なケアができず磨き残しが原因でむし歯になると、矯正治療を中断してむし歯治療を優先しなければならない場合があります。
特に子どもは、自分で細かい部分まで磨くことは難しいため、保護者の方がしっかり仕上げ磨きをしてあげるようにしましょう。
粘着性のある食べ物や硬い食べ物は避ける
キャラメルやガムのような粘着性の高い食べ物や、おせんべいやナッツ類などの硬い食べ物は避けたほうがよいでしょう。装置を装着した状態でそれらの食べ物を口にすると、装置が破損する可能性があります。
装置が壊れてしまうと治療が計画通りに進みません。また、口腔内を傷つける恐れもあります。
指示通りにネジを回す必要がある
急速拡大装置を装着しているだけでは効果を発揮しません。装置に埋め込まれているネジを歯科医師の指示どおりに回すことで上顎の横幅が広がる仕組みになっています。ネジを回し忘れると計画通りに治療が進まず、治療期間が延びる可能性があるため注意が必要です。
なお、ネジは保護者の方が回すようにしてください。カレンダーなどで管理すると回し忘れを防止できるでしょう。
まとめ

急速拡大装置とは、成長期の子どもの矯正治療に用いられる装置です。装着することで顎の横幅を広げて歯を並べるスペースを作ります。子どもの顎の骨は柔らかく動きやすいため、短期間で効果が現れることが多いです。
急速拡大装置を使用した治療にはメリットとデメリットがあるため、しっかり理解したうえで検討しましょう。
小児矯正を検討されている方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、インプラント治療を中心に虫歯・歯周病治療、矯正治療など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、WEB予約もお受けしております。