こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。
顎関節症とはどのような症状が現れる疾患なのか疑問をおもちの方がいるのではないでしょうか。顎関節症は、虫歯や歯周病に並ぶ、歯科分野の代表的な疾患といわれています。
顎関節症の症状があるにも関わらず放置すると、日常生活に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。
今回は、顎関節症とはどのような疾患か詳しく解説します。顎関節症の症状や顎関節症を引き起こす原因、放置するリスク、治療法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
顎関節症とは
顎関節症とは、口を開くときに咀嚼筋や顎関節に痛みが生じたり、口を開け閉めするときに音が鳴ったりする疾患です。会話や食事をするときに口を開けられなくなることもあるでしょう。顎関節症治療の指針2018では、下記のように病態を4つに分類しています
参照元:一般社団法人日本顎関節学会「顎関節治療の指針2018」
咀嚼筋痛障害(筋肉の痛み)
口を開けたり閉めたりするときに、顎関節付近のほほやこめかみの咀嚼筋といわれる部分が痛む症状です。咀嚼筋がなんらかの理由で硬くなり、血管を圧迫して血行が悪くなることで痛みが発生します。顎関節自体には問題がありません。
顎関節痛障害(顎関節の痛み)
顎関節を構成する組織に負荷がかかることで、口を開けたり閉めたりする際に耳の中や周りに痛みが生じるものです。捻挫タイプともいわれています。
顎関節円板障害(顎関節の円板のずれ)
顎関節を覆う軟骨(関節円板)にずれが生じていて、口を開けるときに顎が引っかかって動きにくくなる症状です。復位性顎関節円板障害では、口を開けることができますが、カクッと音が鳴ります。
一方で、非復位性顎関節円板障害では、口が十分に開けられないため、食事や会話に支障がでることもあります。
変形性顎関節症(顎関節の骨の変形)
骨が変形することで関節内部に損傷が起こっている状態です。口を開けたり閉めたりするときに、きしむようなシャリシャリ・ジャリジャリといった音が出ます。
顎関節症のチェックリスト
「もしかして、これは顎関節症かな?」と考えていても、自分では判断に迷うことがあるでしょう。顎関節症の症状を下記にまとめました。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- 顎関節を指で強く押すと痛みや違和感がある
- 顎を動かすと痛みがある
- 口を大きく開け閉めしたときに痛みがある
- 口を大きく開けられない
- 耳の前・こめかみ・頬に痛みを感じる
- 口を開けるとカクッという音がする
上記の症状に1つでも当てはまるものがある場合は顎関節症が疑われるため、歯科医院を受診したほうがよいでしょう。また、会話や食事などの日常生活に支障をきたしている場合にも、速やかに歯科医院を受診してください。
顎関節症になる原因
顎関節症は複数の要因が絡み合って発症すると言われています。ここでは、顎関節症の主な原因をいくつかご紹介します。
TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)
TCHとは、食事や会話をしていないときにも、上下の歯が接触している状態のことです。顎関節症を発症した人の6割にTCHがあるといわれています。
一般的には食事や会話をするとき以外で上下の歯を合わせているのは10分~12分程度で、上下の歯が離れているのが通常の状態です。
しかし、TCHの場合は毎日数時間歯を合わせている状態が続いています。これによって、顎周辺の筋肉に負荷がかかると、痛みが引き起こされることがあるのです。
歯ぎしり・食いしばり
就寝時の歯ぎしりや食いしばりも顎関節症の原因になります。歯ぎしりや食いしばりをすると、通常の噛む力の3倍〜5倍の負荷がかかるといわれています。
歯ぎしりや食いしばりは就寝時など無意識のうちに行われることが多く、自分ではコントロールしにくいのが難点です。歯ぎしりや食いしばりによって顎関節に負担がかかり続けると、痛みが引き起こされます。
噛み合わせの悪さ
噛み合わせが悪いことも顎関節症の原因になります。噛み合わせが悪いことで、顎関節に負担がかかると顎関節症を引き起こすことがあるのです。歯科治療で入れた被せ物が合っていないことで噛み合わせが悪くなることもあります。
また、噛み合わせは加齢とともに変化するため、定期的に歯科医院で調整してもらう必要があります。
事故や転倒などによる外傷
事故や転倒などによる外傷も、顎関節症を引き起こす原因のひとつです。事故に巻き込まれたり、転倒したりなど、外部から顎関節に衝撃が加えられることで痛みが発症するケースもあります。
精神的なストレス
日常生活で精神的に常に強いストレスや不安、緊張を感じている場合に、前述したTCHや歯ぎしり、食いしばりを引き起こすことがあります。そして、それらの行動が結果として顎関節症を引き起こす原因となります。
複数の要因が絡み合って発症するケースのひとつでもあります。
管楽器を演奏する
管楽器の演奏をする方は、顎関節症になるリスクが高いです。管楽器を演奏すると、顎関節や周辺の筋肉を使用することで疲労につながり、顎関節症を引き起こすことがあります。
顎関節症の放置リスク
顎関節症の症状があっても放置する方がいるかもしれません。
しかし、顎関節症の症状があるにも関わらず放置すると、症状が悪化して会話や食事ができなくなるなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。また、顎関節症を放置することで、腰痛や肩こり、めまい、耳鳴りなどが引き起こされる場合もあります。
早い段階で適切な治療を受けることで、症状の悪化や全身への影響を最小限に抑えられます。顎関節症の症状がある方は、早めに歯科医院を受診しましょう。
顎関節症を治療する方法
では、顎関節症はどのように治療するのでしょうか。ここでは、顎関節症を治療する方法をご紹介します。
マウスピースでの治療(スプリント療法)
歯ぎしりや食いしばりによって顎関節に大きな力がかかっている場合には、マウスピースを使用した治療を行います。就寝時にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによってかかる顎関節への負担を軽減する効果があります。
薬物療法
顎の痛みが強い場合には、鎮痛剤を処方されることもあります。鎮痛剤を服用することで、一時的に痛みを和らげることができるでしょう。
噛み合わせの調整
噛み合わせが悪いことで顎関節症の症状が現れている場合には、噛み合わせの調整が行われます。場合によっては、噛み合わせを改善するために矯正治療が必要になるケースもあるでしょう。
運動療法・理学療法
開口訓練を行う場合もあります。具体的には、人差し指を下の歯に、親指を上の歯に当てて少しずつ広げて、口を大きく開ける訓練をします。痛みを感じない程度に行うことが重要です。
また、こめかみや頬に指の腹をあてて軽くくるくるとマッサージすることで、緊張した筋肉をほぐすことができます。緊張が強い場合には、痛んでいる部分を温めることで症状が緩和されることもあるでしょう。
顎関節症を治療する場合の費用
顎関節症の治療にかかる費用は治療法によって異なります。また、顎関節症の治療には保険が適用されるケースが多いです。
マウスピースを使用したスプリント療法にかかる費用は3割負担で3,000円〜8,000円程度です。薬物療法や運動療法の場合は、数百円〜数千円でしょう。症状の改善が見込めず、外科的な治療が必要となった場合には、数万円の治療費が発生する場合もあります。
まとめ
本記事では、顎関節症とはどのような疾患か解説しました。
顎関節症とは、口を開けるときに顎関節に痛みがあったり、音が鳴ったりする疾患です。噛み合わせが悪かったり、歯ぎしり・食いしばりの癖があったりすると、顎関節に負担がかかって顎関節症を引き起こすことがあります。
進行すると口を大きく開けられなくなることもあるため、顎関節症の症状がある場合には、歯科医院を受診して相談しましょう。
顎関節症の症状にお悩みの方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、インプラント治療を中心に虫歯・歯周病治療、矯正治療など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、WEB予約もお受けしております。